ガロでデビューした絵本作家3名・3冊

はじめに

私は育児の過程で絵本の読み聞かせが趣味となり、今や、その蔵書が1000冊をこえるまでに夢中になっています。

今日は大発見です。はずれがない絵本の共通点に気が付いてしまいました。それは「ガロでデビューした絵本作家の絵本は、はずれがない!」です。

ガロとは漫画雑誌です。私は読んだことがありませんが「実験的、前衛的な漫画雑誌」という説明が一般的なようです。

ともかく私が好きな絵本作品の作家のことを調べていたら続けざまに「ガロでデビュー」と書いてあるのです。ただ残念ながら語れるほどガロのことを知らないため「ガロ」と「よい絵本」との関連性について論ずるのは次の課題とし、今回は作家とその作品を紹介します。

絵本紹介

おちゃのじかん(土橋とし子さん)

土橋とし子さんの作品です。土橋とし子 - Wikipediaによると「つちはしとしこ名義で、ガロで漫画家としてデビューし」とあります。絵柄は「ナニワ金融道」の青木雄二さんのようで個性的です。

親戚があつまって世界中のお茶とまつわる文化(作法や道具)を紹介していくという内容です。土橋とし子さんのほかの絵本作品と同様に登場人物は関西弁です。

お茶のうんちく絵本というよりはお茶を題材に親戚家族の楽しいひと時間が描かれていて、読むと笑えながら気持ちがなごむ素敵な絵本です。対象年齢は幅ひろく4歳から小学校低学年くらいまで楽しめると思います。

おちゃのじかん

おちゃのじかん

 

 

 くものすおやぶんとりものちょう(秋山あゆ子さん)

秋山あゆ子さんの作品です。秋山亜由子 - Wikipediaによると「『月間漫画ガロ』 (青林堂)にて『一人娘』でデビュー」とあります。

この絵本は「こどものとも」からハードカバー化された作品です。虫のキャラクターが時代劇を繰り広げるお話です。

「ふてえやろうだぜい」「がってん しょうち」「これでいっけんらくちゃくだ」といった時代劇調のセリフが読んでいて気持ちがいいです。

ストーリー性も抜群でお話の終わりとともに、私の頭の中ではテーマ曲(インスト)が流れてスタッフロールが流れてという時代劇ドラマの終わり方が浮かびます。また絵の中で登場人物を探すなどの遊びの要素もあり「わいわい」楽しみながら読むこともできます。3歳くらいから楽しめます。傑作です。

 

へろへろおじさん(佐々木マキさん)

佐々木マキさんの作品です。佐々木マキ - Wikipediaによると「『ガロ』掲載の「よくあるはなし」で漫画家としてデビュー」とあります。やっぱり「ガロ」なんです。佐々木マキさんの作品はたくさんありますが、今回は「へろへろおじさん」を紹介します。

この作品も「こどものとも」出身でハードカバー化された作品です。内容は、おじさんが様々なトラブルに巻き込まれる悲劇です。大人ならありますよね「いやになっちゃう一日」そして、なぜか、そういうタイミングで「天使」が現れてギリギリのところで「まぁ、明日も頑張るか」と持ちこたえるときが。

その天使は「こどものおなら」だったり、同僚のメールの誤記「おつこれさまです」だったりします。そんなお話です。この「天使」という表現は中島らもの「その日の天使」から拝借しています。ご興味がありましたら「その日の天使」もご一読ください。こちらは絵本ではなくエッセイです。

へろへろおじさん (こどものとも絵本)

へろへろおじさん (こどものとも絵本)

 
中島らも その日の天使 (人生のエッセイ)

中島らも その日の天使 (人生のエッセイ)

 

おわりに

ガロでデビューした絵本作家3名による3冊の絵本を紹介しました。そのほかでは、たむらしげるさんも「ガロ」に漫画を掲載していたそうです(デビューは1976年に出た絵本「ありとすいか」であり「フープ博士の月への旅」はガロ 1978年5月号に掲載されており「ガロでデビュー」ではない)。ここで改めて「ガロ」執筆陣のお名前を見てみると漫画だけでなく多彩な分野でご活躍されている方のお名前が並んでいます。そのあたりによい絵本との関連性のヒントがあるのかもしれません。よい分析がございましたら情報いただけると嬉しいです。

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  • 「くものすおやぶんとりものちょう」、「へろへろおじさん」は、こどものとも出身の作品です。

  • たむらしげるさんも「ガロ」に漫画を掲載していました。