ライブ•コンサートがテーマの絵本 3冊
はじめに
私は育児の過程で絵本の読み聞かせが趣味となり、今や、その蔵書が1000冊をこえるまでに夢中になっています。読み聞かせの魅力のひとつに読み手、聞き手の双方が体験する「臨場感」があります。「ライブ感」といってもいいでしょう。読み手、聞き手とで呼吸をあわせながら生の声でお話をするという宝物の時間です。
また読み聞かせは絵を見る視覚、耳で聞く聴覚が中心となりますが、目の前でページをめくったり、お話内容にあわせて本を近づけたり、遠ざけたり、振動させたりと三次元の視覚で楽しむことができ、聴覚についても機械越しにはキャンセリングされてしまうノイズや非可聴音含めて体で感じることができます。
そして「だるまちゃんとてんぐちゃん」で天狗ちゃんの鼻にトンボがとまるシーンでは子どもの鼻にふれ、「とべ!ちいさいプロペラき」でプロペラ機が飛び立つシーンでは父さんの膝がゴゴゴと一緒に揺れます。
もはや膝にすわっての読み聞かせは全身でお話を楽しむ4DXシアタシートといってよいでしょう。そんな読み聞かせそのものが臨場感あふれるものですが、今回はさらに、絵本の内容も含めて臨場感を追求し、ライブ・コンサートがテーマの絵本を3冊ご紹介します。
絵本紹介
おばけのコンサート
たむらしげるさんの作品で、こどものとも年少版出身の絵本です。こどものおばけがハーモニカをふいていると、様々な楽器を持ったおばけたちが家にどんどんやってきてライブが過熱していきます。
「ブラボー!」と森の動物たちや他のお化けなどの観客達も一緒に踊りだします。まるでインド映画のワンシーンのようです。
色鉛筆で描かれているそうですが青、緑、黄色などの透明感のある色彩がすばらしいです。また楽器の擬音なども独特で楽しい作品で2歳頃から楽しめますので出産祝いにもおすすめです。
もりのピアノ
14ひきのシリーズでしられた、いわむらかずおさんの作品です。女の子が森の中で切り株のピアノを弾き始めると、ネズミは葉っぱのチェロを、タヌキがパーカッションをと様々な動物がくわわり…というお話です。とてもかわいらしい作品で、お話もシンプルに構成されており2歳ぐらいから楽しめます。
私はクラシック楽器に関する絵本を探しているのですが、あまりよいものが見つけられてらず、貴重な1冊です。楽器の中でも特にチェロが好きで、チェロが出てくる絵本を探しているのですが「セロひきのゴーシュ」や、いせひでこさんのいくつかの作品があるものの、いずれも対象年齢が高めで、息子にはまだ難しい内容です。そしてチェロよりも演奏者が多いであろうピアノやヴァイオリンがでてくる絵本もたくさんあるわけではなく不思議に思っています。
きょうはマラカスのひ
不思議なキャラクターの友達3人組が、おうちに集まってマラカスの演奏会をするというお話です。マラカスの音を声で表現するところでは「チャッ チャッ チャチャッ」と子供と一緒に盛り上がります。
そして
- 友達が家にあつまってマラカスの演奏会をするという企画
- なぜか登場人物みんなタイツ(含む全身タイツ)を着用
- 登場人物はすべて動物なのか人間なのか、わからない
おわりに
今回はライブ・コンサートをテーマとした絵本を3冊、ご紹介しました。膝の上で子どもに読み聞かせができるのは限られた時間です。お互いに体温を感じながら、その貴重な宝物の時間を楽しみたいと思います。
また、いままでは我が家も子どもと一緒にカジュアルなファミリーコンサートや、カフェなどで開催される演奏家の自主公演などを気軽に楽しんでおりましたが、このご時世、そのような機会もめっきり減ってしまいとても残念に感じています。いつかまた、気軽に生の音楽を楽しめる日が来ることを願っております。