11月16日は「いい色の日」色を楽しむ絵本 2冊

はじめに

私は育児の過程で絵本の読み聞かせが趣味となり、今や、その蔵書が1000冊をこえるまでに夢中になっています。今日、11月16日は1116(いいいろ)の語呂合わせで「いい色の日」とされています。というわけで今回は様々な絵本の中から「いい色」を楽しめる絵本を2冊ご紹介します。

ちなみに「いい色の日」は塗装に関する業界団体が制定しています。他にも色に関連する記念日として1月6日の「カラーの日」というのもあり、こちらは色に関する検定を運営している団体が制定しています。

そして「いい色の日」、「カラーの日」のどちらの記念日も日本記念日協会という団体が認定しています。同協会について調べてみると記念日を発案する活動をしているのではなく、組織や個人からの申請に基づいて認定と登録をしている団体ということです。同協会ホームページによると登録にあたっては審査があり登録料は15万円(2020年11月現在)となっております。

絵本紹介

いろいろバス

ユニークなアイデアで楽しい絵本を出し続けているユニットtupera tuperaですが、そのなかでも、めずらしく乗り物がモチーフとなっている絵本です。様々な色のバスから、そのバスの色にちなんだキャラクターが降りてきて、そのバスの色にちなんだキャラクターが乗っていくという内容です。例えば赤だったらトマトが降りてきて、タコが乗っていきます。その色に対して想像もしないような組み合わせに驚いたり、くすっと笑ってしまうものもありで子どもも大人も楽しめます。

ところで本作品では様々な色が登場する中、メジャーな色である青がないことについて私自身、気になっておりました。そのことについては「MOE 2018年6月号/tupera tuperaワールドへようこそ」に作家ご本人による作品紹介の特集があり

自然界で青いものって、海や空以外あまりないんですよね。基本的な色なのに不思議です。

とコメントがあり「確かに」と納得しました。

この絵本は私としても思い入れのある絵本です。息子が赤ちゃんのころバスが大好きで、道で見かけるたびに「バ!バ!」(当時はバスの「ス」が発音できなかった)と声をあげて喜んでいたことから、そんなにバスが好きならということでバスの絵本を探していて出会った絵本でした。子どもも大変、気に入ってくれて何度も何度も読んだ絵本です。振り返ってみるとこの絵本によって得られた体験が私が読み聞かせにハマった絵本の一つかもしれないと思っています。今でも、ときどき読んで親子一緒に楽しんでいます。

内容は1歳くらいから楽しめると思います。乗り物絵本ですが、かわいらしい絵柄で性別問わず、おすすめです。出産祝いにもよいと思いますがロングセラー作品ではないものの人気作家の作品なのでもしかしたら、すでに持っているという可能性もあるかもしれません。

いろいろバス

いろいろバス

  • 作者:tupera tupera
  • 発売日: 2013/06/01
  • メディア: ハードカバー
 

 

あめのひのかえりみち

ご紹介する「あめのひのかえりみち」は、こどものとも2016年9月号として発行された作品です。お母さんが保育園に兄弟を迎えに行き、自転車が故障していることから、雨の中歩いて帰るというお話です。

雨が色鉛筆でラフに描いたような感じでの線で描かれているのですが、よく見るとその色はピンク、緑、オレンジ、青といった様々な色で表現されています。その光と色彩にあふれた雨の表現によりストーリー上、憂鬱になりそうな雨の中の帰宅も楽しいものとして感じることができ、その技法に感激をしました。

作画は五十嵐大介さんで「海獣の子供」で知られた著名な漫画家です。第一線で活躍されている漫画家ですが調べてみると他にも絵本作品を手掛けており、ほかの作品も読んでみたいと思いました。

 

この作品にはもう一つ大きな特徴があります。子どもは気がつかないかもしれませんが、話の主人公は雨の中はしゃいでいる子どもたち、ではなく母親だということです。母親または母親視点が主人公の絵本というのはあまりみかけません。文で明確に示されているわけではありませんが、迎えに行った時のピリッとした母親の表情から、雨の中の散歩にテンション高くはしゃぐ子供たちを見ながら、その緊張がほぐれていき、次第に柔らかい表情になっている母親の微妙な表情の変化でそのように読み取れます。

そのあたりが文章を担当された岩井真木さん、絵を担当された五十嵐大輔さんどちらのアイデアなのかはわかりませんが、文と絵で構成するという絵本の特徴を巧みに使って親子それぞれにストーリーを届けるという面白い試みがなされている絵本です。

おわりに

今回は色を楽しむというテーマで2冊の絵本をご紹介しました。赤、緑、青という3色があればすべての色を作ることができるという光の三原色という話はご存じかと思います。実はそれは世界が3色の組み合わせでできているということではなく、人間の網膜が光の強弱を感じる細胞と3色の波長に対応する3種類の細胞と計4種類の細胞で構成されているということから来ています。

つまり日頃、見ているものが世界だと思っておりますが、実際はほんの限られた波長だけを感知して、それを世界として作り上げているだけということになります。一方、人間以外の生き物は人間とは異なる色の世界を生きている可能性が高いといえます。そう考えると、なんだか色っておもしろいですね。

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  • ご紹介した「あめのひのかえりみち」の作者である五十嵐大介さんは代表作「海獣の子供」で知られた著名な漫画家であり、月刊誌「アフタヌーン」でデビューしています。以下の記事では漫画雑誌でデビューした作家の絵本作品を紹介しています。

  • ご紹介した「あめのひのかえりみち」は「こどものとも」として出版された作品です。