よそ者の視点 トミー・ウンゲラーの絵本 2冊

はじめに

私は育児の過程で絵本の読み聞かせが趣味となり、今や、その蔵書が1000冊をこえるまでに夢中になっています。

そのなかでも今回はフランス出身の絵本作家トミー・ウンゲラーの作品をご紹介します。代表作である「すてきな三にんぐみ」は様々な絵本ガイドで紹介されていたり、書店でも目立つ場所に面陳されていたりでご存じの方も多いと思います。

私自身、当初、洗練されたデザイン性の絵本だなという程度の認識しか持っておりませんでした。しかし、著作を何冊かを読み進めていき、さらに経歴を調べるうちに、トミー・ウンゲラーは、よそ者の立場を描き、そして、その、よそ者に対する救いを描いた作家であると考えるようになりました。

トミー・ウンゲラーの経歴

絵本作品のご紹介に先立ち、作者の経歴をご紹介します。トミー・ウンゲラーは1931年にフランスのアルザス地方にあるストラスブールという都市に生まれました。

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ストラスブールの位置

ざっくりとした地図を描きましたが、ストラスブールはパリから東に約500kmの位置にあり、ライン川を越えるとドイツという国境沿いの都市です。

ストラスブールがあるアルザス地方ではフランス語ではなくアルザス語(ドイツ語の方言)が使われており、アルザスの人々はほとんどフランス語が話せませんでした。さらには「トミ・ウンゲラーと絵本」によるとウンゲラーはブルジョアに生まれており、フランス語で教育を受けていたためアルザス地方で生まれ育ちながらにしてアルザス語を使えなかったそうです。

そして、ストラスブール第二次世界大戦の際にドイツに侵攻され1940年のときにドイツ領となり、フランス語が禁止されています。再び「トミ・ウンゲラーと絵本」によると、その際にウンゲラー(9歳)はドイツ語を習得しています。皮肉なことにウンゲラーはドイツ語を習得した結果、地元の言葉であるアルザス語(ドイツ語の方言)が使えるようになったそうです。

しかし、その後、1944年にアルザス地方はフランスへ帰還しましたが、フランスでは長期に渡り国の政策でアルザス語が禁止される時期が続きました。

このように生まれ育ったストラスブールでアンゲラーは何重にも少数派としての立場に置かれております。さらには20代半ばにヨーロッパからの移民としてニューヨークで活動することになります。これらの経歴が作品に影響を与えたであろうということは容易に想像ができます。そんなウンゲラーの絵本を2冊ご紹介します。

絵本紹介

すてきな三にんぐみ

すてきな三にんぐみ

すてきな三にんぐみ

 

ウンゲラーが1956年にニューヨークに渡り「へびのクリクター」や「エミールくんがんばる」などの何冊かの物語絵本を出した後の1961年に本作「すてきな三にんぐみ」を発行しています。文化的な時代背景としてはカウンターカルチャーまっさかりで1962年にはビートルズがイギリスにてシングル『ラヴ・ミー・ドゥ』でデビューし、そして1963年にはウンゲラーと同時期にニューヨークで活躍していたセンダックの「かいじゅうたちのいるところ」が発行された、そんな時代です。

すてきな三にんぐみ」で描かれているよそ者は3人の強盗です。3人の強盗が無目的に人々を襲って奪った金銀財宝を、世の中の役に立てるというお話です。そして本作には後書きとして訳者の今江 祥智さんの解説があり、それによると「すてきな三にんぐみ」は娘のフィービーちゃんに捧げたものであることが書かれています。

本作は社会風刺といった視点から語られることが多いようですが、強盗3人組が襲おうとした馬車の中にいた孤児ティファニーちゃんの存在により、強盗3人組が救われたということがテーマであると考えるのが自然かと考えております。つまり異国の地で一旗揚げようと頑張るウンゲラーにとって娘の存在が生きる意味となり、救われた話とシンプルに理解することができるのではないかと考えております。

 

月おとこ 

次に1966年に発行された「月おとこ」をご紹介します。月に住む、月おとこが華やかそうに見える地球の暮らしにあこがれ、流れ星につかまって地球にやってきてからのドタバタというお話です。

やはり本作も主人公は地球人から見た「よそ者」です。実際にお話の中でも、月おとこは見世物になったり、逮捕されたり、警察に追われたりと散々な扱われ方をされます。

そこに別の「よそ者」が現れます。世の中から忘れられた科学者ドクトル・ブンゼン・バン・デル・ダンケル(以降、ダンケル博士と表記)です。月おとこはダンケル博士という理解者に救われて静かな生活を取り戻し、ダンケル博士も月おとこに救われ、科学界のスターダムを駆け上がります。

この作品では「よそ者」の孤独が描かれながらも、どこかで理解してくれる人がいるという希望が描かれています。そして「センダックの絵本論」によるとセンダックは「月おとこ」を次のように絶賛しています。

『月おとこ』は、その発想の独自性、個性的な表現法、出来栄えの美しさにおいて、問題なく近年を代表する最高の絵本の仲間に入れることができます。何もかもがぴたりとはまり、現代的で、調子はぴりっと辛辣で、しかも全体としてとても楽しいのです。

そう考えると、フランスからニューヨークにやってきたよそ者「ウンゲラー」の孤独を救ったのは、彼の才能を見出した編集者や、センダックなどの同時代の絵本作家などの仕事仲間だったのかな、なんて思いを馳せてしまいます。また日本の理解者たるダンケル博士としては「やなせたかし」がおり、玄光社の雑誌「イラストレーション 2010年 5月号」のインタビューによると次のようなコメントがあります。

ムーンマンを見たときはショックを受けました。こんな絵本を描きたいと思ったのに『アンパンマン』になった。

…ちなみに月おとこが発行された3年後の1969年にアポロ11号が人類初の月着陸に成功しています。

おわりに

多くの人々が様々な場面でよそ者として居場所のない思いをすることは一度や二度ではないと思います。そんなときにウンゲラーの作品は、皆が感じるよそ者に対する世の中の冷たさに共感しながら、同時に、どこかに理解してくれる人がいるという希望を与えてくれるものであると考えています。

参考資料

本記事の作成にあたり、以下の書籍を参考にしました。

筒井康隆の絵本「ジャングルめがね」

はじめに

私は育児の過程で絵本の読み聞かせが趣味となり、今や、その蔵書が1000冊をこえるまでに夢中になっています。今回は「こんな絵本を持っています」という珍しい絵本のご紹介です。SF作家の筒井康隆による絵本です。

一般的には「時をかける少女」の原作者だったり、ドラマの「七瀬再び」や「富豪刑事」の原作者と知られているのではないかと思います。

筒井康隆は私にとって中学、高校生時代の憧れの存在であり、カリスマ的な存在でした。出会いのきっかけは自宅に置いてあった文庫の「くたばれPTA」でした。

「くたばれPTA」は当時、母親が買った本で「PTAの活動に疑問があって、PTA活動の課題や解決法が書いてある本だと思って買ったけれど、全然違った。なんだか気色悪い話ばかり載っていた」と言っていたのを覚えています。それに私は興味を持ち、読み始め「こんな面白い小説があるのか」「こんな考え方が許されるのか」とその強烈な作品群に目覚めさせられ、中学、高校とひたすら読んだ作家でした。小説の中の思いもよらぬ発想や不謹慎なアイデア、エッセイでの過激な発言など私の人格形成に大きな影響があったと思う作家です。たぶんそれはよい影響ではないとは思いますが…

そんな先生が絵本を出していたと知り、早速、入手し読み聞かせをして見ましたので、その内容をご紹介したいと思います。

絵本紹介「ジャングルめがね」 

ジャングルめがね (すきすきレインボー)

ジャングルめがね (すきすきレインボー)

  • 作者:筒井 康隆
  • 発売日: 2010/01/20
  • メディア: 単行本
 

文は当然、筒井康隆先生。絵は「ホネホネさん」シリーズでおなじみ、にしむらあつこさんです。ジャングルめがねをかけると、まわりの人たちがジャングルのどうぶつに見える。主人公のしんすけくんがジャングルめがねをかけて事件を解決するという内容です。

この絵本はもとは婦人向け雑誌「暮らしの設計」(中央公論社)の1971年7月号に掲載されて、1977年に単行本として発行されています。その際は長尾みのるさんというイラストレーターが絵を手掛けており、以下のような表紙となっています。ちなみにこのバージョンは私は所有しておりません。その後、にしむらあつこさんの絵で2010年にリニューアルされたというのが経緯となっております。

物語の中身の話に移ります。物語上で事件を発見するきっかけとしては

  • 主人公のしんすけくんがお父さんのおつかいでタバコを買いに行く

となっております。実際、私も子供のころ、お釣りをもらえるから喜んでお使いでタバコを買いに行ってましたけどね。ただそれは1980年代の話です。ここはお父さんに頼まれて例えば缶コーヒーを買いに行くでもよかったような気がします。

そして、肝心の物語上の事件は

  • 黒い車のおじさんが女の子を車に乗せて誘拐する

です。絵本の中でおきる事件としては生々しい感じがします。どちらのエピソードもリニューアルの際に変更したらよかったのにと私は思いました。

しかし、私が編集者だったらリニューアルのタイミングで筒井先生に「時代にそぐわないので…」とは恐れ多くて言えないのかもしれません。過去にも表現者として言葉狩りや自主規制とは戦ってきたお方ですから。断筆宣言されたのが私が高校一年の頃だったかな。そのころの先生は私のカリスマでありヒーローでした。

おわりに

本作品の主人公は「しんすけくん」です。当時、ご長男の伸輔さんに向けてつくった絵本なのだと思います。自分の息子のために絵本をつくり、それが商品として流通するのはうらやましいですね。

ちなみに前述の気になる点はあるものの絵本として「ジャングルめがね」は絵はかわいくストーリーも面白く、我が家では息子も大好きな一冊です。ページ数はそこそこありますが、1ページ当たりの文章も多くないので3歳くらいから楽しめると思います。

変なおじさんの絵本 3冊

はじめに

私は育児の過程で絵本の読み聞かせが趣味となり、今や、その蔵書が1000冊をこえるまでに夢中になっています。今回は変なおじさんが登場する絵本をご紹介します。実はおじさんがモチーフの絵本は結構あります。絵本ナビで「絵本児童書」として検索した結果は次の通りです。

  • おじさん、おじちゃん→194件
  • おばさん、おばちゃん→97件
  • おじいさん、おじいちゃん→204件
  • おばあさん、おばあちゃん→299件

いかがでしょうか、なかなかのメジャーな存在感を示しています。

そして絵本では「おじさん」は原則として「変な」存在として扱われているように感じます。お父さんも、おじいさんも、おにいさんも持っていないものを持っている存在として「おじさん」は頑固だったり、変わってたり、ミステリアスだったり、見知らぬ世界を見せてくれたり、ちょっとかわいかったりします。今回はそんな「おじさん」の絵本をご紹介します。

 

絵本紹介

おじさんのかさ

代表作「100万回生きたねこ」で知られた佐野洋子さんの作品です。本作品ではこだわりが強くて、そしてちょっとかわいいおじさんが登場します。主人公は傘を溺愛しているおじさんです。

おじさんは雨が降っても傘をさしません。傘を濡らしたくないがために見知らぬ人の傘に入れてもらって移動するほどです。そんなこだわりの強いおじさんの心の変化が描かれた作品です。

絵本の中でおじさんは、傘をうっとり眺めて楽しそう、ホテルの入り口で雨宿りして楽しそう、人の傘に入れてもらって楽しそう、そして雨の中を出発して、無表情の人たちの中で歩いていても終始、子供のような表情で楽しそうなんです。

そんなおじさんを変な人だなとみることもできますし、逆にこだわりをなかなか捨てられないことの共感もあります。またおじさんの奥さんのように、そんなこだわりの人をかわいらしく思う気持ちもわかりますし、だけど身近にいたら困るかな?なんて思いもあったりします。

「笑える」「泣ける」「感心する」「切なくなる」など読者の感情をあらかじめ想定された特定の方向に動かすことができる物語も、それはそれで楽しめるものですが、この作品のように特定の感情に分類しずらい感情を味わえる絵本に出会えると絵本を読んでいてよかったなと感じます。

 

おじさんのかさ (講談社の創作絵本)

おじさんのかさ (講談社の創作絵本)

  • 作者:佐野 洋子
  • 発売日: 1992/05/22
  • メディア: 大型本
 

 

くろいマントのおじさん

この絵本はこどものとも1999年11月号として発行され、後にハードカバー化されていますが、現在は一般書店では入手できないようです。
まずは表紙のインパクトがすごいです。ふくよかな体に小顔がちょこんと乗っています。そうです、表紙のおじさんが「くろいマントのおじさん」です。

しかしこのおじさんは物語の中では異形の人ではありません。登場人物はすべてこのような風貌です。画像検索をしてみるとわかりますが、作者の金森宰司さんは画家で、ふくよかで温かみのあるフォルムの人物画が特徴の画家です。調べてみると絵本はこの1作品だけをつくられているようです。

そんな大きなおじさんが、ある日、ヨーロッパ風の街に登場します。セールスマンのようにも見えます。おじさんは大きなカバンから気球をとりだし、町の一人の少年と一緒に気球に乗ります。そしておじさんは少年に未知の世界を見せ、去っていきます。

文字だけみるとシンプルなストーリーに見えますが、絵のオリジナリティと柔らかい色彩が相まって幻想的で不思議な感覚と物語の温かみを生み出しています。

実際に子供のころの父親以外の「おじさん」は父親が話さないような種類の面白い話をしてくれたり、家族といったことのないような場所に連れて行ってくれたりと、この作品のおじさんのような存在だった気がします。

くろいマントのおじさん (日本傑作絵本シリーズ)

くろいマントのおじさん (日本傑作絵本シリーズ)

  • 作者:金森 宰司
  • 発売日: 2000/06/20
  • メディア: 大型本
 

 

ジャリおじさん

当初、こどものとも年中向き1993年8月号として発行され、現在はハードカバー化されている作品です。

 

作者の大竹伸朗さんは本業は現代美術家です。私は現代美術家村上隆さんが好きなのですが、東京芸大日本画を専攻していた村上隆さんが20代半ばに大竹伸朗さんの展覧会をみて現代美術に目覚め、方向転換をしたというインタビューを読んだことがあり、そこで名前を知りました。

 

鼻のあたまに髭のあるジャリおじさんが歩き続ける中で様々な出会いと出来事に遭遇するというお話です。回収されない伏線と突っ込み処が満載で笑えます。ですが、わかる人にしかわからないようなナンセンス絵本ではなく、ストーリーもしっかり楽しめます。絵についても斬新で一見、落書きのように見えますが、明るい色合いでかわいく、視線の誘導も工夫されており絵単体でも物語を十分に楽しめるようになっています。読むたびに発見があり、楽しくホッとした爽やかな気分になれる絵本です。

 

私はこの絵本が絵本ガイドなどで紹介され、十分な評価を受けたのちに出会っております。しかし本作品にリアルタイムで出会った人たち、つまり、こどものともの月刊誌として幼稚園などで配られ、子どもが持ち帰ってきたものを読み聞かせた人達はどれだけの衝撃だったのだろうかと思います。

ジャリおじさん (日本傑作絵本シリーズ)

ジャリおじさん (日本傑作絵本シリーズ)

  • 作者:大竹 伸朗
  • 発売日: 1994/11/20
  • メディア: 大型本
 

おわりに

いかがでしたでしょうか。おじさんってひたすら取っつきにくいひともいれば、妙にフレンドリーな人がいたりします。そして興味のない人からみたら、変なことに膨大なお金と時間をつかっていたり、密かに驚くような経歴と才能を持っていたりして、それらの楽しいお話を聞かせてくれる人もいます。おじさんが「変」なのは絵本の中ではないのかもしれません。

関連記事

  • ご紹介した「ジャリおじさん」と「くろいマントのおじさん」は「こどものとも」シリーズとして出版された作品です。

  • 「へろへろおじさん」(作:佐々木マキ)をご紹介しています。

11月16日は「いい色の日」色を楽しむ絵本 2冊

はじめに

私は育児の過程で絵本の読み聞かせが趣味となり、今や、その蔵書が1000冊をこえるまでに夢中になっています。今日、11月16日は1116(いいいろ)の語呂合わせで「いい色の日」とされています。というわけで今回は様々な絵本の中から「いい色」を楽しめる絵本を2冊ご紹介します。

ちなみに「いい色の日」は塗装に関する業界団体が制定しています。他にも色に関連する記念日として1月6日の「カラーの日」というのもあり、こちらは色に関する検定を運営している団体が制定しています。

そして「いい色の日」、「カラーの日」のどちらの記念日も日本記念日協会という団体が認定しています。同協会について調べてみると記念日を発案する活動をしているのではなく、組織や個人からの申請に基づいて認定と登録をしている団体ということです。同協会ホームページによると登録にあたっては審査があり登録料は15万円(2020年11月現在)となっております。

絵本紹介

いろいろバス

ユニークなアイデアで楽しい絵本を出し続けているユニットtupera tuperaですが、そのなかでも、めずらしく乗り物がモチーフとなっている絵本です。様々な色のバスから、そのバスの色にちなんだキャラクターが降りてきて、そのバスの色にちなんだキャラクターが乗っていくという内容です。例えば赤だったらトマトが降りてきて、タコが乗っていきます。その色に対して想像もしないような組み合わせに驚いたり、くすっと笑ってしまうものもありで子どもも大人も楽しめます。

ところで本作品では様々な色が登場する中、メジャーな色である青がないことについて私自身、気になっておりました。そのことについては「MOE 2018年6月号/tupera tuperaワールドへようこそ」に作家ご本人による作品紹介の特集があり

自然界で青いものって、海や空以外あまりないんですよね。基本的な色なのに不思議です。

とコメントがあり「確かに」と納得しました。

この絵本は私としても思い入れのある絵本です。息子が赤ちゃんのころバスが大好きで、道で見かけるたびに「バ!バ!」(当時はバスの「ス」が発音できなかった)と声をあげて喜んでいたことから、そんなにバスが好きならということでバスの絵本を探していて出会った絵本でした。子どもも大変、気に入ってくれて何度も何度も読んだ絵本です。振り返ってみるとこの絵本によって得られた体験が私が読み聞かせにハマった絵本の一つかもしれないと思っています。今でも、ときどき読んで親子一緒に楽しんでいます。

内容は1歳くらいから楽しめると思います。乗り物絵本ですが、かわいらしい絵柄で性別問わず、おすすめです。出産祝いにもよいと思いますがロングセラー作品ではないものの人気作家の作品なのでもしかしたら、すでに持っているという可能性もあるかもしれません。

いろいろバス

いろいろバス

  • 作者:tupera tupera
  • 発売日: 2013/06/01
  • メディア: ハードカバー
 

 

あめのひのかえりみち

ご紹介する「あめのひのかえりみち」は、こどものとも2016年9月号として発行された作品です。お母さんが保育園に兄弟を迎えに行き、自転車が故障していることから、雨の中歩いて帰るというお話です。

雨が色鉛筆でラフに描いたような感じでの線で描かれているのですが、よく見るとその色はピンク、緑、オレンジ、青といった様々な色で表現されています。その光と色彩にあふれた雨の表現によりストーリー上、憂鬱になりそうな雨の中の帰宅も楽しいものとして感じることができ、その技法に感激をしました。

作画は五十嵐大介さんで「海獣の子供」で知られた著名な漫画家です。第一線で活躍されている漫画家ですが調べてみると他にも絵本作品を手掛けており、ほかの作品も読んでみたいと思いました。

 

この作品にはもう一つ大きな特徴があります。子どもは気がつかないかもしれませんが、話の主人公は雨の中はしゃいでいる子どもたち、ではなく母親だということです。母親または母親視点が主人公の絵本というのはあまりみかけません。文で明確に示されているわけではありませんが、迎えに行った時のピリッとした母親の表情から、雨の中の散歩にテンション高くはしゃぐ子供たちを見ながら、その緊張がほぐれていき、次第に柔らかい表情になっている母親の微妙な表情の変化でそのように読み取れます。

そのあたりが文章を担当された岩井真木さん、絵を担当された五十嵐大輔さんどちらのアイデアなのかはわかりませんが、文と絵で構成するという絵本の特徴を巧みに使って親子それぞれにストーリーを届けるという面白い試みがなされている絵本です。

おわりに

今回は色を楽しむというテーマで2冊の絵本をご紹介しました。赤、緑、青という3色があればすべての色を作ることができるという光の三原色という話はご存じかと思います。実はそれは世界が3色の組み合わせでできているということではなく、人間の網膜が光の強弱を感じる細胞と3色の波長に対応する3種類の細胞と計4種類の細胞で構成されているということから来ています。

つまり日頃、見ているものが世界だと思っておりますが、実際はほんの限られた波長だけを感知して、それを世界として作り上げているだけということになります。一方、人間以外の生き物は人間とは異なる色の世界を生きている可能性が高いといえます。そう考えると、なんだか色っておもしろいですね。

関連記事

  • ご紹介した「あめのひのかえりみち」の作者である五十嵐大介さんは代表作「海獣の子供」で知られた著名な漫画家であり、月刊誌「アフタヌーン」でデビューしています。以下の記事では漫画雑誌でデビューした作家の絵本作品を紹介しています。

  • ご紹介した「あめのひのかえりみち」は「こどものとも」として出版された作品です。

 

昭和30年代の農村の子供時代が体験できる 菊池日出夫さんの絵本 3冊

はじめに

私は育児の過程で絵本の読み聞かせが趣味となり、今や、その蔵書が1000冊をこえるまでに夢中になっています。

読み聞かせの際は基本的に私がセレクトしたものを順に読んでいくのですが、そのときの息子の気分にあわない作品はタイトルを読んだ時点やその本を手に取った時点で「違う。それじゃない。」となります。

しかし、どのようなときでもウェルカムな鉄板作家が存在します。次の3名です。

絵柄も取り上げる題材も異なるお三方ですが、あえて共通点をあげれば

  • ノスタルジーを感じる作風であること
  • 教訓ものではないこと
という2点です。そのうち今回は菊池日出夫さんの作品「のらっこの本」シリーズをご紹介します。

のらっこの本シリーズについて

「のらっこの本」シリーズとは主に福音館書店の月刊雑誌である「こどものとも」で発行された絵本のシリーズです。昭和24年生まれ、長野県佐久地方出身の菊池日出夫さんの子どものころの体験をもとにした絵本で、昭和30年代の農村の子どもたちの生活が描かれています。私の父が昭和24年生まれですから、息子にとってみるとおじいちゃん、おばあちゃんの子ども時代の風景でありお話ということになります。

 

このシリーズは1984年発行の「さんねんごい」から2018年の「まなつのかわ」まで現時点で約10冊発行されており、過去に一部がハードカバー化されております。しかし残念ながらハードカバーの作品も現時点では一般書店では入手できないようです。そのため私も中古市場で少しずつそろえている状況です。
 
内容は周囲を山で囲まれた農村で子どもたちが稲刈りをしたり、蛍を捕まえたり、川で遊んだり、冬には池でスケートしたりといったといったお話です。絵柄は細かいところまで丁寧に書き込まれており泥臭いともいえる描写が、リアリティと何とも言えない温かみを生み出しています。
 
この絵本は没入感が非常に高いです。読み聞かせをしている間は私も息子も、登場人物のひでお、まさし、ごろ、きよしたちと一緒の時間を過ごし、絵本の出来事が自分たちの思い出だったかのような錯覚を起こします。子どもにいたっては一緒に風呂に入っているときに「まさしちゃんがさ、あのときこうしてね」などと、友達のことを話すかのように話してきたりもします。
 
それではシリーズのうち、3作品をご紹介します。 

絵本紹介

のらっこ

こどものとも1987年10月号の作品です。

「おーい、きよしちゃーん、なにやってるだあ」

「たの こいとりづらあ」

 たんぼで こいを かっている のうかは、

いねかりのまえに たの こいとりをする

という説明から物語は始まります。菊池さんの作品の特徴の一つとして場面のズームアウト、ズームインを非常に効果的に描いています。

最初の場面も田んぼで働く大人たち、昔ながらの日本の家、馬小屋、手前の山、遠くの山、その中に走っている子供たちといったズームアウトからはじまり、次のページでは田んぼに向かってかけてくる子どもたちの生き生きとした表情や体の動きがみられるズームインのシーンとなります。子ども達も手伝っての稲刈りの一日を描いた作品です。すばらしい絵本作家の方は子供のころの心象風景をよく覚えているものだなと思います。

 

ラッキー

こどものとも2000年11月の作品です。過去にハードカバー化されたこともあるようです。タイトルの「ラッキー」とは主人公のひでの飼っている犬の名前です。本作品は主人公のひでおと友人たちがラッキーと出会った時の話です。山でちゃんばらようの木を探しているときに見つけたイヌの子を持ち帰ったのですが、家で飼うのを許してもらえず、桑畑の中の隠れ家で友人グループで飼育をするというお話です。

 

菊池日出夫さんの絵本の特徴の一つに方言があります。

「ちゃんばら やらっちょ」

「おれが ひまみて せわしとくずら」

「どうしらっか」

など長野県の方言なのだと思いますが、読んでいて気持ちがよいですし、子どもも気に入ってまねしています。この絵本では子どもたちがつくった「かくれが」がでてきます。私も空き地や雑木林の一角に友人と作ったものでした。この絵本では隠れ家に入るときの合言葉などもでてきて、私も子供時代を思い出して胸が熱くなります。

 

ほたるさわ

こどものとも2008年7月の作品です。このあたりはかろうじてメルカリなどの中古市場でも適正価格で入手可能だと思います。

こどもたちのグループでホタルをとりにいくというお話です。夜の雑木林の深さや暗さと対照的な蛍の美しさが絵本いっぱいに伝わってきます。大きい子から小さい子、男の子と女の子が混ざって遊んでいる風景というのは懐かしいです。年長者がリーダとなって小さい子の面倒を見ながら遊ぶというのは私の時代もそのような感じはまだ残っていたと思います。

私も田舎育ちですが、たくさんの自然のホタルを見たというのは1度くらいしか記憶にありません。ホタルがみられる場所を探して、子どもにもこのような経験をさせてあげたいものです。

おわりに

菊池日出夫さんの「のらっこ」シリーズからを3冊ご紹介しました。入手しづらいという点がとても残念なのですが、他の作品では味わうことのできない絵本体験が得られる作家であり作品群です。

私の親世代、子どもにとってはおじいちゃん、おばあちゃんの世代の話なのですが、私も子どもも、その世界に入り込み、登場人物であるひでぼう、ごろ、まさしちゃん、としちゃんたちと一緒に遊んだ記憶として残るレベルです。世代を超えて子供時代の楽しい思い出を味わうということができます。

関連記事

  • ご紹介した3冊の絵本は「こどものとも」シリーズとして出版された作品です。

  • 我が家の鉄板作家三人のうちの一人、たむらしげるさんをご紹介しています。

 

ドングリ、クルミ 秋の終わりの木の実の絵本 3冊

はじめに

私は育児の過程で絵本の読み聞かせが趣味となり、今や、その蔵書が1000冊をこえるまでに夢中になっています。過去の記事の

でもご紹介したとおり私と息子の秋の遊びといえば「ドングリ拾い」です。しかし、この頃はすっかり涼しくなり、子どもと近所の公園にいっても、新鮮な(綺麗な)ドングリは拾えなくなってきました。そこで今回は去り行く秋を惜しんで木の実の絵本を3冊ご紹介します。

絵本紹介

ドングリ・ドングラ

2015年発行の比較的新しい作品です。内容はコナラ、カシ、クヌギ、シイ、松ぼっくりなど様々な木の実たちが集結し、とある共通の目的を持って列を組んで旅に出るというお話です。

この時点でお気づき思いますが、極めて独特の世界観の絵本です。まず木の実をキャラクター化する方法が独特です。この作品の木の実たちは下図の向かって左側のキャラクターのように2足歩行した人間の形状で約5~6等身の顔だけが木の実の姿です。また顔となっているドングリの向きも帽子の方が下となっております。

一方、ドングリ等が絵本でキャラクター化されて扱われるケースは多いですが、下図の向かって右側のように帽子側が上となっているパターンでまた木の実の本体から手足が生えているケースが多いです。

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ドングリのキャラクター化

そして、その独特の世界観の徹底がストーリー展開を盛り上げます。そのほんの一部をご紹介します。彼らドングリ達の天敵はリスです。ドングリの何倍の大きさもあるリスがピュアな瞳でドングリを食べようとします。絵本の歴史上、ここまで恐ろしいリスの描写はなかったのではないかと思います。絵本内の作者紹介文によると”「スターウォーズ」に感化され、SFやファンタジーのイラストを描き始める”とあり、SF好きということなので2009年から雑誌連載されている人気漫画「進撃の巨人」のオマージュである可能性は十分にあると考えております。

また絵本ナビの作者インタビューによると、とあるシーンは葛飾北斎のイメージも入れているということでしたので、もしかしたら私が気がつかないだけでその他にもオマージュ、パロディが含まれているのかもしれません。 

 

このような独特の世界観の中、さまざまな種類の木の実のキャラクターが隅々まで書き込まれた絵は見ているだけで楽しいですし、テンポよいストーリー展開で子どもも大好きな作品です。4歳ごろから楽しめると思います。

ドングリ・ドングラ

ドングリ・ドングラ

 

 

どんぐり

 次にご紹介するのは「かがくのとも」出身の絵本、その名も「どんぐり」です。「かがくのとも」とは福音館書店が発行している月間絵本雑誌です。「こどものとも」が物語を楽しむシリーズだとしたら、「かがくのとも」は科学や身の回りのことをストーリーとして楽しむというノンフィクションシリーズといえます。

 

まず表紙が美しいです。これは機会がございましたら書店で実物を手に取ってみていただけたらと思います。水色の空と黄色がかった木の葉っぱのコントラストは「北海道の翼」エアドゥの機体を彷彿とさせます。そうなんです。本作品は舞台が北海道で、ドングリはドングリでも「ミズナラ」がテーマになっています。絵本でドングリというとクヌギ、コナラがほとんどですから「ミズナラ」という時点で特別感があります。

 

ミズナラの木を中心にドングリの一生と森にすむ小動物の生態が描かれています。淡々と事実が書かれるスタイルですが、これがじんわりと温かみを感じさせる素敵な絵本です。4歳ぐらいから楽しめると思います。

どんぐり (かがくのとも傑作集 どきどき・しぜん)
 

 

くるみのなかには 

最後の木の実はクルミです。 2017年発行と比較的新しい絵本です。まず表紙がすばらしいです。小動物や苺、小さい花などを額にして中心に写実的なクルミが描かれています。そしてその上にタイトル「くるみのなかには」とあります。甘すぎず、シックすぎずで、これから始まる物語に期待を寄せることができます。

 

内容は「くるみのなかにはなにがある?」という問いに、繰り返し答えていきます。その流れで白黒、カラーという繰り返しも素敵です。そして物語の遠いところからだんだんと、自分たちの生きる世界へ展開していく流れなども素晴らしいです。

 

宝物のような絵本です。プレゼントにもおすすです。3歳くらいから楽しめます。 

くるみのなかには (講談社の創作絵本)

くるみのなかには (講談社の創作絵本)

 

 

おわりに

今回は木の実をテーマにそれぞれ異なる魅力の3冊の絵本をご紹介しました。しかし実は3冊は描き方は異なるもののテーマは共通だったりします。

そしてドングリ拾いもシーズンが終わり、次にドングリの木にお世話になるのは梅雨明け前後からのカブトムシ・クワガタ採集でしょうか。こうして植物の一年を見ていくと月日がたつのは本当にあっという間です。どんぐりの木のように子どもも日々、成長していくことを思うと、ますます毎日を大切に楽しんでいきたいと思った一日でした。

参考情報

関連記事

  • ドングリでアマビエを作ってみました。

  • ドングリに絵を描く遊びをご紹介しています。

尾崎玄一郎さん・由紀奈さんの不思議な世界 絵本紹介 3冊

はじめに

私は育児の過程で絵本の読み聞かせが趣味となり、今や、その蔵書が1000冊をこえるまでに夢中になっています。今回は尾崎玄一郎さん・尾崎由紀奈さんというご夫妻の作家による絵本を3冊ご紹介します。

ご夫婦で絵本作家というのは調べてみるとたくさんいらっしゃいました。一部をご紹介すると

などなど国内外問わずで驚きました。
尾崎玄一郎さんは現代美術作家であり、絵画教室を運営しているそうです。そして経歴を調べると尾崎由紀奈さんも美術大学をご卒業されており、どちらが文でどちらが絵といった役割分担はないのかもしれません。
 
お二人の作品の特徴は意外性のある世界観でありながら自然なストーリーを楽しめるところです。一般的に絵本で複雑な設定にチャレンジしようとすると設定へのこだわりから物語の展開が損なわれてしまったり、逆に風呂敷を広げすぎて設定が甘くなり、物語のリアリティが失われてしまったりすることがあります。
しかし、お二人の作品は独特の世界観をオリジナリティあふれる絵で緻密に力強く表現することにより説得力のある物語を楽しむことができます。

絵本紹介

おしいれじいさん

こどものとも年中向き2012年8月号」として発行された作品で、2019年にハードカバー化されています。

昭和の香りがする「おしいれ」に「おしいれじいさん」と呼ばれる魚の姿をした生き物?お化け?が住んでいて、夜になって人間が布団を取り出すと目を覚まし、活動を開始するというお話です。 おしいれじいさんは押し入れの中で、しまわれている道具やおもちゃで遊ぶのですが、なんと「釣り」をします。魚なのに「釣り」?

表紙は何かがこちらをギロリとみているような一見、怖い絵柄ですが、おしいれじいさんは愛らしくかわいくて、ユーモアたっぷりの楽しいお話です。

おしいれじいさん (こどものとも絵本)

おしいれじいさん (こどものとも絵本)

 

 

きしゃのゆ 

こどものとも 2016年12月号」として発行された作品です。ハードカバー化はまだされていません。こどものとも福音館書店が発行している月間雑誌ですが、本作品は比較的最近発行された作品なのでメルカリ等の中古市場ではまだ手に入れやすいと思います。

こちらの絵本も表紙だけ見ると紺と紫をベースとしたダークな色合いで、ちょっと怖そうな話に見えてしまいますが、そのようなことはありません。

内容は新米機関車が線路の道に迷い、偶然見つけた汽車専用の銭湯に入ってみて様々な出会い・経験をするという内容です。汽車がキャラクターとして活躍するお話や、動物などが森の中で温泉に入るお話などはよく見かけますが、汽車が銭湯に行く話は聞いたことがありません。ほかにない世界観です。

世界観を構成する様々な設定のほんの一部をご紹介すると、入浴にあたって入り口で受け付けのおばさん汽車に炭水車とスコップを預けたり、汽車を洗う洗い場の仕組みなどなど、よく考えられています。気合の入った絵がストーリーを十分に物語っており、楽しくさわやかな気分にさせてくれるお話です。

 

きっさすなどーひー

 「こどものとも 2019年8月号」として発行された作品です。ハードカバー化はまだされていません。最近の作品なので2020年11月においてバックナンバーの取り扱いのある大型書店やネットショップなどでもかろうじて新品購入可能かと思います。

ここまでくると表紙が怖いのは慣れましたが、本作品においては、もはやタイトルを読んでも何がモチーフとなっているか想像すらできません。「おしいれじいさん」と「きしゃのゆ」はタイトルと表紙から物語の舞台や登場するキャラクターの想像ができましたが「きっさ すなどーひー」とはなんぞや?表紙のキャラクターは?疑問がいっぱいです。

内容を説明します。公園の地下に喫茶店があり、そこでは公園に生息する妖精のような妖怪のような存在「土くれ」(つちくれ)が夜な夜な集ってきます。そこの喫茶店の名物が「すなどーひー」です。すなどーひーとは公園の砂場にしみ込んだ水に砂や泥の風味を抽出し、公園の地下を通ってドリップされた飲み物です。その喫茶店をめぐる楽しいお話です。表紙にいるのは喫茶店のマスターです。

「どーひー」という名前について子どもと話題になり、私は「土でできているから土曜日の"土"からきているんじゃないか」と話したところ、子どもが「どろの"ど"じゃないか」といっており、お話をしっかり読むと子どもの説がただしいことがわかるのですが、文章と絵を一体として見ている子どもの理解力に驚いたものでした。また子どもの理解の度合いからも、この作品が物語設定の面白さだけでなく、子どもが集中して物語の世界に入っていく力のある作品であると実感しました。

おわりに

今回は意外性のある世界観でありながら自然なストーリーを楽しめる尾崎玄一郎さん、由紀奈さんの作品をご紹介しました。どの作品も作家のオリジナリティが物語の説得力につながっております。いずれも表紙が怖い感じがしますが、楽しい作品でおすすめです。「きしゃのゆ」も「きっさすなどーひー」もハードカバー化してくれるとうれしいです。

参考情報

  •  絵画教室 OZ:尾崎玄一郎さんの運営する絵画教室のサイトです。サイト内のブログにはそれぞれのに絵本に関する記事もあります。

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  • ご紹介した3冊の絵本は「こどものとも」シリーズとして出版された作品です。